京都の庭園を散策してきました! ~ガーデンセラピー応用編~

2022年04月14日

みなさんこんにちは! ガーデンセラピーコーディネーター1級の浅野栄二ですアイコン 社長

ガーデンセラピーは基本的には「自宅の庭で植物の力を借りて健康を維持しましょう」という取り組みですが、緑や水の豊かな場所ならどこででもセラピー体験をすることができます。

今回は、日本ガーデンセラピー協会主催の研修で、京都の無鄰菴(むりんあん)を見学してきましたのでその報告と、無鄰菴に前後して個人的に他の庭園も見学してきましたので、そちらもまとめてご報告します。

まずは無鄰菴です。
陸軍大将や総理大臣を務めた大物政治家、山縣有朋(やまがたありとも)の別荘として明治29年に造営されました。
庭園、母屋、洋館、茶室で構成されていて、昭和26年に国の名勝に指定されています。

実はガーデンセラピー協会の研修で、2020年の秋にもここに来ていまして、今回は2回目になります。
前回のブログでは無鄰菴の魅力についてしっかり深く記事を書いていますので、興味ある方はそちらをお読みください。

<前回の無鄰菴ブログはこちら>

上の写真は庭園の入口付近です。
とても歩きにくそうな飛び石が並んでいますが、これも計算されたデザインなのです。
飛び石が歩きにくいので、人は庭園に入ってもしばらくは足元を見ながら歩きます。
そして、最初のフォーカルポイント(ここで景色を見てほしいという作庭家おススメの眺望ポイント)で園路を突き当らせ、大きな飛び石を置いています。そうすると人はここで立ち止まり、自然に顔を上げて作庭家の意図する景色を確実に眺めてくれるのです。

名勝に指定されるような庭園は、このように細かいところで様々な工夫がされています。
解説してくれる人がいないとなかなかそこまでわからないので、このような研修形式での見学は大変勉強になりますね。

続いて個人的に訪れた京都御苑です。
京都はこれまで何度も訪れていますが、ここは初めて。
京都市街のど真ん中に、こんなに広い空間があるなんて驚きです。

京都御苑は、かつて天皇が住み公務や儀式を執り行った「御所」と、約200軒の公家屋敷が建ち並ぶ「公家町」で構成されていました。

明治になり天皇が東京へ移ってから、ここは荒廃が進みましたが、やがて公園として整備されました。

程よいボリュームの木々と草地。
きっとセラピー効果抜群です。
京都市民にとって、とても癒されるありがたい緑地ですね。

御苑内には、江戸時代に再建造営された御所が健在でした。

家相を気にする方はご存知だと思いますが、北東の方角は鬼門(きもん)と呼ばれ、鬼や邪気が集まり出入りするとされています。昔から鬼門には邪気を払うヒイラギやナンテンを植えたり、風呂や便所を避けたりしてきましたが、なんとその鬼門除けのルーツが、ここ御所なのです。

上の写真は御所の鬼門です。角を無くして壁が内側に折れているのは、「角(つの)を取って鬼を封じる」という考えから来ているという説、京都の鬼を皇室がこの凹みですべて受け止め、庶民に災いがいかないようにしたという説などがあります。

また、この場所は「猿が辻」とも呼ばれています。
鬼門を守る日枝神社の使者が猿であること、また十二支において北東(丑寅)の反対は南西(未申)であることから、鬼門除けとして塀の屋根の下に木彫りの猿が安置されているのです。しかしこの猿は夜な夜な塀から出ていたずらをしたため、金網を貼って出られなくしたそうです。

いずれにしても、日本の家屋の鬼門除けのルーツになっているのが、ここ京都御所の鬼門であるということが、そしてその鬼門が誰でもいつでも見ることができるというのが、とても感動的です。

次は二条城。
徳川家康が京都御所の守護と自身の上洛の際の宿泊所として1603年に築城したものです。

重要文化財の唐門です。
その奥には15代慶喜が大政奉還をした国宝・二の丸御殿が見えます。

二条城は建築物も素晴らしいのですが、なんといっても庭園が美しいのです。

ここ二の丸庭園は、江戸時代を代表する作庭家・小堀遠州の作。
建築物で言うと国宝にあたる「特別名勝」に指定されています。
庭園に隣接する3つの建物から鑑賞できるように、池や石組などの配置が工夫されています。
1日見ていても飽きないほどの素晴らしさです。

そして今は無き天守閣跡から眺める城内です。
遠くに見えるおなじみの比叡山や東山と、京都では意外(?)な、迫力ある城郭がここだけの世界を作り上げています。

ちなみに二条城は日本百名城のひとつで、城オタクである私は忘れずに百名城スタンプを押してきました。

京都は何度来ても新たな発見があり、歴史的にも建築的にも造園的にも奥の深い街です。
また近いうちに訪れたいです。

 

緑や水にあふれる場所でのセラピー効果は次のようなものが考えられます。

*視野いっぱいの緑や花がストレスホルモンを低減させる
*水の音や野鳥の声がストレスホルモンを低減させ幸せホルモンオキシトシンを分泌させる
*樹木などから放出されるフィトンチッドや香りが血圧を正常化させ免疫力を高める
*適度な運動や日光浴が心身の健康に役立つ
*花や虫など、小さな驚きや感動が脳を活性化させ幸せホルモンオキシトシンを分泌させる
*歴史的建造物や自然の美しい風景に触れることで幸せホルモンオキシトシンが分泌される

などなど、五感をフルに刺激して心や身体に良いことだらけなのです。
ちなみにオキシトシンは、免疫力アップ、高血圧・認知症・動脈硬化・糖尿病・便秘などの予防・改善効果が認められています。

緑に癒される心地よいひととき、みなさんも体験してみませんか?

 

 

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一般社団法人日本ガーデンセラピー協会は、医学博士、学術博士、大学教授、医療機関院長などが役員・顧問を務め、
学術的なエビデンス(根拠)に基づいて活動する組織です。
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