近所の川越で湧き水めぐり<後編> ~ガーデンセラピー応用編~

2022年06月11日

みなさんこんにちは! ガーデンセラピーコーディネーター1級の浅野栄二ですアイコン 社長

ガーデンセラピーは基本的には「自宅の庭で植物の力を借りて健康を維持しましょう」という取り組みですが、緑や水の豊かな場所ならどこででもセラピー体験をすることができます。

ではさっそく前回に続き、近所の川越市内での湧き水めぐり<後編>をご紹介します。

【川越市の仙波河岸史跡公園舟着き場跡】

まずは仙波河岸史跡公園(せんばがししせきこうえん)です。
川越市街地の北~東側を流れる新河岸川(しんがしがわ)は東京の隅田川につながっていて、昭和の初めまでは、川越と東京を結ぶ重要な水上交通路でした。
ここ仙波河岸史跡公園は、新河岸川の最も上流にある舟着き場の跡で、しかも湧水地となっているのです。

【舟着き場跡から水が湧いています】

ここから水が湧いていて、そのまま新河岸川に流れています。

【明治時代の仙波河岸の様子】

案内板には明治時代後期の仙波河岸の写真も展示されていて、歴史と文化とブラタモリが好きな私はもう大興奮(笑)!

江戸時代に川越藩主松平信綱が、川越と江戸を結ぶために、いくつかの川を繋いだり蛇行させて水量を安定させるなどの大改修をして、人工的に作ったのがこの新河岸川なのです。
舟運の最盛期は江戸時代後期から明治時代前期。
客を乗せる「早舟」は、川越城下を午後3時に出発し、翌朝8時に千住に着いたそうです。
一方荷物を運ぶ「並舟」は、川越から醤油や木材などを、江戸から塩や海産物などを積み、7~8日かけて往復していたようです。
当時の小舟の船旅ではトイレや雨はどうしていたのでしょうか。また川を下るのはラクだけど上るのはどうしていたのでしょうか。謎が深まります。

やがて明治時代の中ごろから、この辺りでも鉄道建設が始まり、また大正時代に水害対策として新河岸川の直線化工事を行なった結果、水量が減って水深が保てなくなるなど、舟運を取り巻く環境は悪化していき、ついに昭和6年に舟運の時代は終わりを告げました。
ああ、ここでも「諸行無常」と「もののあはれ」を感じます。

【明治時代の仙波の滝】

この公園内には「仙波の滝」という湧き水もありました。
この写真も明治時代に撮影されたものですが、山の斜面の下から湧き水が二つの滝となって流れていますね。
傍には着物姿の明治の人たちも写っています。

【涸れてしまった現在の仙波の滝】

しかし現在は、もう滝はありません。
昭和の中ごろに涸れてしまったそうです。
斜面の上には片側2車線の国道16号線、その沿道にマンションやビルが立ち並んでいるので、きっとそれらの開発工事が原因かもしれません。とても残念です。

【仙波の滝の上に建つ愛宕神社】

仙波の滝の上に建ち、そんな時代の移り変わりを黙って見守り続ける愛宕神社。
これからの仙波や周辺地域の明るい未来を祈らずにはいられませんでした。合掌。

 

【下新河岸日枝神社の境内】

次は、仙波河岸跡から2kmほど下流にある下新河岸日枝神社(しもしんがしひえじんじゃ)です。
ここも下新河岸と呼ばれる船着き場があったところで、この日枝神社には舟運の安全や五穀豊穣を司る神様「大山咋神(おおやまくいのかみ)」が祀られています。
神社周辺には船着き場跡や隆盛を極めたであろう舟問屋商家跡などもあり、当時の面影が少し残っています。

ちなみに余談ですが、日枝神社の日枝(ひえ)とは、あの比叡山(ひえいざん)のことです。
古事記にも「大山咋神は日枝の山(比叡山)に鎮座する」という記述があることから、延暦寺が創建される遥か昔から、比叡山は神の山として崇敬されていたようです。

【日枝神社境内崖下の湧水地全景】

さて、境内の崖を降りて新河岸川の岸辺に来ると見えてくるのがこの湧き水です。

【新河岸日枝神社の湧き水の湧出点】

大木の根元から今でもちょろちょろと水が湧いていました。
なんだか少しホッとしました。

ちょろちょろと湧く水の動画はこちら

日枝神社周辺の川岸はあちらこちらでもちょろちょろと水が湧いているので、もしもここを訪ねる機会があれば、足を延ばして探してみてくださいね。

今回は川越舟運の栄枯盛衰に触れる、楽しくもあり寂しくもある散策でした。
次回の湧き水めぐりも地元を歩いてご紹介しますね。乞うご期待!

近所の川越で湧き水めぐり<前篇>はこちら

追伸:
このブログを読んだ弊社スタッフから、「これがガーデンセラピーなの?」と聞かれたのですが、ただ単に健康目的で緑の中を歩いても、多分すぐに飽きてしまって長続きしません。
自分の好きなことと関連付けて緑の中を歩いた方が、きっと楽しいしそこに長時間居られます。
「結果として緑の中でセラピー効果を体験できた」というのが理想だと思いますので、そこんとこよろしく!

 

緑や水にあふれる場所でのセラピー効果は次のようなものが考えられます。

*視野いっぱいの緑や花がストレスホルモンを低減させる
*水の音や野鳥の声がストレスホルモンを低減させ幸せホルモンオキシトシンを分泌させる
*樹木などから放出されるフィトンチッドや香りが血圧を正常化させ免疫力を高める
*適度な運動や日光浴が心身の健康に役立つ
*花や虫など、小さな驚きや感動が脳を活性化させ幸せホルモンオキシトシンを分泌させる
*歴史的建造物や自然の美しい風景に触れることで幸せホルモンオキシトシンが分泌される

などなど、五感をフルに刺激して心や身体に良いことだらけなのです。
ちなみにオキシトシンは、免疫力アップ、高血圧・認知症・動脈硬化・糖尿病・便秘などの予防・改善効果が認められています。

緑に癒される心地よいひととき、みなさんも体験してみませんか?

 

 

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